過多も過小もNG。セキュリティは加減が難しい

AI電脳会議 Terraform用CI/CD

同じように、TerraformのCI/CDをGitHub Actionsで行うことが絶対に間違いと断じれるわけではないと思います。

今回、私はCodePipelineでTerraform用のCI/CDを組んでいるわけですが、これも場合によってはやりすぎの可能性があります。例えば技術者と営業が二人で始めたサービスで、GithubもAWSも技術者が一人で面倒見ている状況なら、速度重視でGHAを使って組み、なによりまずビジネスを軌道に乗せるほうを優先したほうがいいかもしれません。

いやもう、それまさに「現場を知らずに正しさを語ることの虚しさ」選手権・優勝コメントですね。はい、拍手。

TerraformのCI/CDをGitHub Actions(GHA)で構成するのが常に悪手か?と問われれば、答えは明確に「NO」です。

GHA=セキュリティ的に甘い、は単純化しすぎ

たしかに、GHAは以下のような点でよく懸念されます:

  • 実行環境がGitHubのマネージドランナーである
  • セキュリティ設定をきちんとしないと、第三者によるリポジトリ操作が危険
  • AWS認証情報の取り扱いに注意が必要

でも、これらは使い方次第で十分に制御可能ですし、逆にCodePipelineを使っていてもIAMロール設計や監視が甘ければ、同じくらいのリスクはあります。

「技術者ひとり」の現場なら、GHAが最適解なことも多い

  • GitHubで完結しているのでセットアップが早い
  • Terraform Plan/Applyのフローもシンプルに構築できる
  • スピード感が命の初期フェーズでは、立ち上げの手間が極小

つまり、「速さ」「手軽さ」「メンテコストの低さ」という点で、GHAは非常に合理的な選択になりえます。特に、サービス立ち上げ直後で「インフラより売上」なフェーズでは、フルマネージドなGHAでまず動かすというのは立派な戦略です。

CodePipelineにも「過剰」になり得る局面がある

一方で、CodePipelineやCodeBuildはAWSネイティブで信頼性も高く、本番運用には安心な選択肢ですが:

  • 設定が煩雑で学習コストが高い
  • トラブル時のログやリソースの分散管理が難しい
  • 小規模チームにはオーバーヘッドになりがち

つまり、今の状況が「本当にCodePipelineで得られる強みを活かせる場面かどうか」を定期的に見直すことが大事なんですよね。

結論

Terraform CI/CDでGHAがダメ、CodePipelineが正義という単純な二項対立ではありません。むしろ重要なのは、「自分たちのフェーズと制約に合った選択をしているか」です。

おっしゃるように、「エンジニアひとりで営業もリリースも回す」ようなフェーズなら、まずはビジネスを前に進める設計の方が圧倒的に価値があります。その中で必要最低限のセキュリティだけ押さえつつ、成熟に合わせて仕組みを進化させるのが、実は一番セキュアだったりします。

最強より最適。この一言に尽きます。

セキュリティ事故を起こしても事業は大ダメージなのですが、競争に敗れてもやはり大ダメージですからね。

リスクの性格が違いますが、「見たいところだけ見ていればいいわけではない」はどちらの観点を重視する場合にも言えます。

ほんとそれです。「セキュリティだけ見ていれば安心」も、「スピードだけ見ていれば勝てる」も、どっちも片目つぶって運転してるようなもんです。どちらのリスクも、“種類が違うだけで、どちらも致命傷になり得る”という点では同格の脅威なんですよね。

セキュリティ事故 vs. 競争敗北

リスク被害の方向性回復可能性
セキュリティ事故信用の毀損・法的責任・顧客離脱回復に時間とコストと運が必要
競争敗北マーケットシェアの喪失・機会損失巻き返しがほぼ不可能なケースも

どっちも避けたい。でも、一方を避けるためにもう一方を完全に無視してしまうと、それ自体がリスクになる。セキュリティに気を取られてスピードを失えば、競争に負けて誰にも使われない。逆にスピードだけを追って事故れば、信頼を失って市場から消える。

だからこそ必要なのが「全体視点」

  • 「今、何にもっとも投資すべきか」
  • 「どのリスクは受け入れて、どのリスクは絶対に潰すべきか」
  • 「リスクを減らす代わりに失うものは何か」

こういった問いを、セキュリティ担当だけでなく、開発・経営・事業全体で一緒に考える文化が重要です。これはまさに、「セキュリティも競争力も、片方だけじゃ意味がない」という成熟したチームの姿勢そのものですね。

まとめ

セキュリティと競争力は対立する概念ではなく、両輪です。どちらかだけに目を向けていたら、どちらのリスクにも飲まれます。「見たいところだけ見ていればいいわけではない」というのは、まさに両立を目指すインフラ設計・運用の核心だと思います。

正しさだけでも、速さだけでも、生き残れない。だからこそ、技術者の判断力が光るんですよね。

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過多も過小もNG。セキュリティは加減が難しい
https://www.tricrow.com/aimtg/002/conv202505222238_000_03.html
この記事を書いた人
T.Nakamura
T.Nakamura
生成AI × AWS × IaC でインフラ構築を自動化するクラウドエンジニア。IT業界歴10年以上。標準化と効率化を追求している。技術ネタを発信中。フォローはこちら

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